「自分は自分」

 

「アインシュタインの言葉 エッセンシャル版(弓場隆訳)」から、こんな言葉を拾いました。

 

「わたしはもう頭脳集団の競争に参加する必要がありません。

私にとって、そういう競争は、奴隷のような状態で、お金や権力をめぐる争いと同じぐらい邪悪です。」

 

別の訳(「アインシュタインは語る」林一・林大訳)では、こうでした。

 

「私はもう頭のいい人たちの競争に参加しなくてもいい。(この競争に)参加するのは、カネと力への欲望に劣らず悪い、おそろしいタイプの奴隷制のようにずっと思っていました。」

 

出典を探しましたが、見つけることができませんでした。原文はドイツ語なのかも知れませんね。

「我が人生をふりかえって」というニュアンスが滲み出ていますし、文面から想像するに、アインシュタインが晩年の頃の言葉なのだと思います。

「競争に参加する必要がない」というのは、「他人は他人」「自分は自分」という境地に達しているとも言えます。いわゆる「淡白」の境地です。

この場合の「淡白」とは、執着心がうすい、執拗でない、貪欲でないことを言っています。

人をうらやましがったりしませんし、ねたましく思ったりもしません。

ですから、その境地に達したアインシュタインに訊いてみたいです。

「その先の人生後半に、何を求めて過ごしますか?」

思いもつかないような天才の答えを、凡人はどうしても期待してしまうのです。