昔、ネットの動画配信がまだなかった頃、レンタルビデオ店にぶらっと入ってジャケ借りをするのが常でした。
新作や準新作を何枚か借りたついでに、旧作を選ぶ基準はだいたいそれです。
けれども前から観たいと思っていても、店に入るとつい忘却リストに入ってしまうというパターンもあって、あとから思い出して残念な思いを繰り返すのでした。
忘却リストから脱却してもらうためにも、丹念に棚と棚を練り歩くという作業は欠かせなかったのです。
そのうちのひとつが「ホテル・ハイビスカス」でした。私の大好物どストライクの映画で、当時DVDを何度も繰り返し観ました。
先日、それを動画配信サービスで見つけて、ひとりで興奮しました。(動画配信おそるべし!)
「ホテル・ハイビスカス」は、同名のコミック(仲宗根みいこ著)を原作とした、中江裕司監督のウチナー映画です。
とにかく、この映画に流れる空気感のすべてが愛おしい。
小学3年生の美恵子を中心に、飾らないウチナーンチュの姿が投影されています。
1980年代の沖縄が描かれていますから、私のリアルな実体験と重なる部分があるからなのかも知れません。
この映画を観ると、意味もなく泣きそうになります。