漫画「人魚の森」

 

高橋留美子さんは私たち世代にとっては特別な存在の漫画家です。

「うる星やつら」に始まり、「めぞん一刻」「らんま1/2」「犬夜叉」や数々の短編漫画など、今もなお「MAO」を連載している伝説かつ奇跡的な天才漫画家です。

こんなに長く世の中に受け入れられる漫画をアップデートし続けるなんて、もはや前人未到の領域としか言いようがありません。

私は特に「人魚の森」にはじまる人魚シリーズが好きで、不老不死をめぐる人間の性(さが)をテーマにしたこの作品は、手塚治虫先生の「火の鳥」に対比されて語られることも多いですね。

「火の鳥」では猿田彦が一人で孤独を耐えなければならないのに対して、「人魚の森」の主人公は湧太と真魚の二人です。

猿田彦が手塚治虫先生本人の分身であるならば、高橋留美子さんは一体誰と孤独を分け合っているのかというのを、オタクたちが語り合うのも大変興味深いです。

なかでも高橋留美子さんが自ら影響を受けたと話す「ハレンチ学園」の永井豪先生やちばてつや先生、手塚治虫先生などの先人(天才漫画家)たちとともに、その孤独を分かち合っているのではないかという考察が、一番好きです。

時々、「人魚の森」を読み返してみますが、「なりそこない」たちに襲われながら二人で闘って生きていく湧太と真魚を見るたびに、天才の孤独を感じずにはいられません。

少しホラーの要素が入っているので誰にでもオススメすることはしませんが、機会があったら是非お読みください。