「70年代オカルト」

 

今を生き抜くための70年代オカルト 前田 亮一著

 

 

私は昭和チックのモノを懐かしむのが趣味ともいえる昭和40年男ですから、この手のお話は大好きで、まさにどストライク・ゾーンのシロモノです。

目次に並ぶ単語も、「ユリ・ゲラー」「バミューダ・トライアングル」「ピラミッド・パワー」「イエティ」「ノストラダムスの大予言」「ファティマ・第三の秘密」などなど。

もう、ワクワクするようなラインアップです。

私が小学生から中学生までの、特にオカルト大好き年代に堪能したコンテンツだらけと言えます。

なかでも「ノストラダムスの大予言」は1974年に映画化されたのですが、食べ物をめぐって争う未来人(ほとんど人間の姿をとどめていない)のシーンが強烈過ぎて、当時マセガキだった私もさすがにトラウマ級の衝撃を受けたのを覚えています。今や映画そのものが封印作品となっているそうですから、かなり問題作だったのでしょう。

同名の原作(五島勉著)も、今の時代では考えられないほどの断定的な物言いで、それが強烈な印象を残しました。

1999年に人類が滅亡する。

それが前提で、なぜ滅亡するのかを連ねていくわけですから、確かに恐怖心があおられてしまいます。

終末論は時々再生産されては世の中を駆け巡っていきますから、人間の本質に近いところにある恐怖心に巣食うものなのでしょうね。

私にとってオカルトとは、「信じる、信じない」の対象ではなく、エンターテイメントとして楽しむものです。

けれども、見事に世相を映しこんだり、世の中の人の不安をイメージするものだったりするので、バカにならないとも思っています。