ミーハー・ランナー

 

村上春樹氏のエッセイ「走ることについて語るときに僕の語ること」には、村上氏の月間の走行距離と愛用のランニングシューズについて語る場面があります。

「新しいミズノのランニング・シューズも買った。ケンブリッジの「シティー・スポーツ」で、いろんなメーカーのランニング・シューズを試し履きした結果、今練習しているのと同じミズノを選んだ。全体に軽量で、かかとのクッションはいくぶんハードだ。そして例によって、いかにも愛想のない履き心地だ。しかしこのメーカーのシューズには、妙な味付けがされていないぶん、自然な信頼感がもてる。もちろんこれは僕の個人的な感想に過ぎない。」

まるでグルメ記者がその料理について語るように、自分の選んだランニング・シューズについて語るその言葉には、誇らしさがにじんでいるようです。

そして、この章をこう結んでいます。

「この新しいシューズを、本番のレースまで一か月かけて、両足にゆっくりと馴染ませていくことになる。」

かっこいいなあ。大人だなあ。

こんなかっこいいセリフを自然に語ってみたいものです。

ミーハーな私は、この文章の影響が大きくて、さっそくミズノのランニング・シューズを購入したのでした。

私ができることと言ったら、有名人のマネをすることぐらいです(笑)

でも、久しぶりのランでPBを出せましたから、「ささやかな意識のバースト」が起きたのかも知れません。