「川のながれ」

 

仏教詩人の坂村真民さんの詩は、色紙に書写して目の届くところに置いておきたくなる、そんな詩が多いです。癒しの詩人と言われる所以です。

優れた詩は、新しい視点を与えてくれます。見えなかった存在を気づかせてくれます。

ここでは私が好きな詩のうちのひとつ、「川」を紹介しますね。

 

 

  川

 

ひるは

ひかりのなかを

よるは

やみのなかを

ながれてゆく川

だから川は

美しいのだ

なぜなら

この二面の世界に

執せず

着せず

サラサラと

海に向かって

ながれてゆくからだ

 

 

自然の姿は、受け手が謙虚で繊細であれば、人の道の標となります。

 

この世は二面の世界であると看破し、その世界に執着せず無心に生きていく姿を、川の流れに映したのでしょう。

「私も川のように生きたい」という作者の決意が溢れるかのようです。