外山滋比古氏の著書でこんな言葉に出会いました。
「見よ、タンポポは種をすこしでも遠くへ飛ばすために、綿毛をつけているではないか。親のそばにくっついていると、大きく伸びるチャンスがないことを知っている。また、見よ、大木を。その下には草も生えていないではないか。親木の下で若木が伸びられないことを心なき草木でも、知っているのである。」
子や弟子は、親や先生に近づきすぎるのは良くないというお話です。
それを表したことわざがあります。
「三尺下がって師の影を踏まず」
意味は、師に随行するときは三尺ほどの間隔をとって、師の影を踏まないようにしなくてはならない。弟子は先生を尊敬して、礼儀を忘れないように心がけなくてはならないということ。
これ自体、もと仏教の作法が由来らしく、師僧に従って歩く場合の心得だとのことです。
礼儀もそうですが、外山氏は弟子側の成長という点で距離感を大切にせよと述べています。
今の世の中の価値観からすれば、だいぶ時代からはみ出た主張なのかも知れませんが、昭和世代の私は、わかる気がします。
尊敬する師匠は、弟子としてはやはりいつまでも遠い存在であってほしいのです。
友だちみたいな先生もいいかも知れませんが、それは私には合わない気がします。
親の立場としても、その方が子どもの成長にいいのだろうというのはわかっているのですが、私はどうも子どもにくっつきたがります。反省です。