「心地よく負ける」

 

澤木興道禅師の言葉を紹介します。

「負けたら、心地よく負けたらいいじゃないか。それを気持ち悪く負けてうらんで、畜生ッと喧嘩腰になって、癇を立ててやっている。馬鹿馬鹿しいことだ。」

 

言葉ではわかっていても、具体的には「心地よく負ける」なんてどんなもんなんだろうと思っていたのですが、それを実際に目の当たりにすることができました。

北京オリンピックのカーリング女子の試合でのこと。

実況のアナウンサーが「コンシード」という言葉を使いました。

時々、その言葉を耳にはしていたのですが、きっとカーリング特有のルールのようなものがあって、今までも知らなかったのだから今さら知らなくてもいいやぐらいで深掘りしていなかったのでした。

 

以下はウィキペディアから。

カーリングは、ゴルフと同じく本来は審判員が存在しないセルフジャッジ競技であり、スポーツマンシップが重要視される。

相手チームの失策を喜んだり、そのような態度を示すことは、慎むべき行為として忌避される。

途中のエンドの終了時に自チームに勝ち目がないと判断したとき、潔く自ら負けを認め、それを相手に握手を求める形で示すという習慣(コンシード)もフェアプレーの表れの1つである。勝ったチームも、抱き合うなどして喜びを表現する前に相手と握手する。

この理念は、世界カーリング連盟が定めるカーリング競技規則の冒頭にカーリング精神 (The Spirit of Curling) として掲げられており、競技の根本がこの理念から成立していることを示している。

 

その姿は、澤木興道禅師が示す「心地よく負ける」を体現しているのだと思いました。

実際、日本代表が負けて残念でしたが、彼女たちがあの場で「コンシード」を示したことが実に爽やかだったのです。

「心地よく負ける」とは、こういうことなんだなと心にストンとおさまった瞬間でもありました。