「喫茶喫飯」

 

禅語に「喫茶喫飯」という言葉があります。

「茶に逢うては茶を喫し、飯に逢うては飯を喫す」

お茶を飲んでいるときには、お茶を飲むことに集中し、ご飯を食べるときには、ご飯を食べることに集中しなさいという意味です。

 

禅で語られるのはマインドフルネスそのものですから、「今ここ」の一つひとつを丁寧に心をこめて行っていくことの大切さを説いたものです。

その対極にあって、今の私たちがやりがちなのが、「ながら作業」ですね。

音楽を流しながらの作業。テレビをつけながらの食事。そして、極めつけは「ながらスマホ」。

文字にするとマナーが悪いし、危険でもあるし、「ながらスマホ」はいけないと判っているのですが、ついつい「このぐらいなら」とやってしまいます。

ご飯を食べながら、スマホを広げたり。

行き先を確認しようと地図アプリを開きながら、そのまま「歩きスマホ」してしまったり。

子どもには注意するのに、大人の方こそやってしまうのがそれです。

 

スマホだけを取りざたするのではなく、日ごろから何事にも「喫茶喫飯」を心がけて生活していくことが大切ですね。

あれもこれもと手を広げながら生活をしていると、何をしているのか結局わからなくなってしまいます。

分散している状態なので、せわしいだけで充実感が得られることがありません。

まずは文字通り、ゆっくり時間をかけて、目の前のお茶を味わって飲んでみることから始めたいと思うのです。