「ひばりと農夫」

 

イソップ寓話から。

「ひばりの引っ越し」あるいは「ひばりと農夫」というタイトルで知られた寓話です。

 

 

ひばりが広い麦畑の真ん中に巣をつくっていた。すでに冠も生え羽根も強くなったヒナを、その巣で育てていた。

農夫が見回りに来て、黄金に色づいた麦の穂を見ると、

「取り入れの時期だ。仲間を呼び集めよう」

と言った。これを聞いたヒナは母ひばりに告げ、「早く引っ越ししましょう」と頼んだ。

しかし母ひばりは、

「まだ大丈夫。仲間を頼りにする人は、そんなに急いでいないものさ」

と言うばかりだった。

農夫が再びやって来て、麦の穂が陽の光を浴びて、こぼれそうになっているのを見ると、次の日に刈り手を雇うこと、麦の運び手も雇うことを段取りした。すると母ひばりが幼い子らに言うには、

「すぐに引っ越しの準備をはじめよう。仲間を当てにせず、自分で刈るというのだから」

 

 

イソップ寓話だと知らなくても、きっとどこかで聞いたことがある話でしょう。

この話の教訓として、寓話によっては母ひばりが最後に子どもたちに諭しているバージョンがあります。こんなセリフです。

「人間というのは「だれかにやってもらおう」と思っているうちは何もしないものだ。「自分でやろう」と思ったら初めて何かをしはじめるものなのだ。」

ミスを防ぐための多重チェックが、かえってミスを誘ってしまうというのに通じるお話ですね。