成熟な防衛機制

 

精神的に健康を保つための回復力(レジリエンス)については、その構成要素について大まかに次のようなものが挙げられています。

粘り強さ、期待感、目的意識、一貫性、未来への信念、健全な動機、たくましさなど。

共通しているのは、よくない出来事が起きたとしても、そこからよいことを見つけ出して、柔軟なやり方で適応することです。

その適応の仕方には、未熟なものから成熟したものまでがあるとされています。

その説明には、フロイトの防衛機制が有名ですね。

未熟なものから紹介していきます。

「投影」とは、自分の内面にある受け入れがたい感情や欲動を、自分のものとして認めず、外部に写し出すこと。つまり、他人のせいにすることです。

「抑圧」とは、実現困難な欲求や苦痛な体験などを無意識の中に封じ込め、忘れようとすること。イヤな記憶を積極的に排除することです。

「合理化」とは、実例にイソップ寓話のキツネの話がよくあがります。ブドウの木を前に、キツネがブドウを取ろうとしますが、木の上部になっているブドウが届かないため、「届かない位置にあるのはすっぱいブドウ」だと口実をつけます。このように、満たされなかった欲求に対して、理論化して考えることにより自分を納得させることです。

これらは未熟な防衛機制として知られているものです。対照的に、成熟したものとして「ユーモア」や「昇華」があがります。

例えば「否定」は、実際に起きたことを全く起きなかったと言い張って現実をゆがめてしまいますが、「ユーモア」は現実を否定することなく現実そのものを再構成します。

「昇華」は、反社会的な欲求や感情を、社会的に認められた活動の形へと方向づけることです。

大切なのは、健康的に長生きしている人は、成熟した防衛機制を使う傾向があるということ。

それって、まるで宮澤賢治の「雨ニモマケズ」じゃないかと、思いました。