自己批判の落とし穴

血糖値が高い方や脂質異常の方は、外来受診日には検査結果を確認することが多いです。

前回の結果よりも数値が高くなっていて、その原因に心当たりがある方は「やっぱり今回は上がると思ってたんですよ」と言います。

「しようがいない。仕切り直しですね」と私。

一方、間食を控えて運動を続け、さらには体重も落としてきた人は、かなり期待して検査結果をのぞき込みます。

頑張った分だけ改善がみられている方は、モチベーションがさらにあがり、健康活動にハリが出ますから、気持ちよく回っていきます。

問題なのは、本人が頑張ったと思う分だけの結果が伴っていない場合です。

「あれ?今回は良くなっていると思ってたのに。なんで?」

血糖値は瞬間風速と同じで、すぐに効果が見えますが、例えばヘモグロビンA1cなどは2、3か月間の中期的な平均値なのですぐには検査に反映しないのです。

ここで「もういいや」とか「どうにでもなれ」などのヤケクソモードになってはいけません。

私も結果だけを見て厳しい言葉をかけてしまわないように気をつける瞬間です。

必要のない自己批判はモチベーションを低下させるばかりか、自己コントロールを低下させます。

自分にやさしい言葉、励ましの言葉をかけるように誘導ができれば、やる気の向上につなげることができます。

「やっていることの方向性は絶対に間違っていないから、ためしに次の検査まで待ってみましょうよ。」

ヤケクソになるのを免れた人は、さらなる工夫を考え出すことが多いのを見てきました。

「運動したあとのビールが続いたのが良くなかったかも知れない。少し減らしてみます。」

自己コントロールが必要な方は、自己批判を繰り返さないようにしてください。自分に厳しくすると、かえって「どうにでもなれ」の回路が働いて、自暴自棄でコントロール不能になってしまいます。