認知バイアス

バイアスとは「偏り」という意味があります。

そして、自分の思い込みや周囲の環境に影響されて、非合理的な判断をしてしまう心理現象を認知バイアスと言います。

認知バイアスについて考えるようになったのは、コロナワクチン接種について忌避者と呼ばれる方とお話する機会が増えたためです。

認知バイアスはいくつかのカテゴリーに分類されていて、代表的なものを以下に列挙してみます。

 

○確証バイアス(追認バイアス)

自分に都合のいい情報だけを集めてしまう現象です。

もともとの先入観に基づいて他者を観察し、その先入観を補強するというものです。

ですから、新たに情報が得られたとしても、先入観ありきで、決断した内容を有利に解釈する傾向があります。

 

○正常性バイアス(正常化の偏見、恒常性バイアス)

自分に都合の悪い情報を無視してしまう現象です。

よく例に出されるのが、災害の避難についてです。自然災害や火事、事故・事件などの状況下にあっても、自分にとって都合の悪い情報を無視し、過小評価して逃げ遅れ、被害が広がってしまうのです。

最悪の状況をイメージすることができないので、「まだ大丈夫」「すぐに収まる」と考えてしまいます。

 

○偽の合意効果

自分の考えが一般の考えと同じと思い込んでしまう現象です。

自分の評価が日本人の評価を代表している錯覚に陥っています。

 

○内集団バイアス

自分の属している集団は他の人に比べて優れていると思い込む現象です。

自分と同じ意見だから、正当であり間違いがないと思っています。

簡単に言えば、「依怙贔屓」と同じです。

 

○アンカリング

ある事象の評価が、ヒントとして与えられた情報に引きずられてしまうことです。先に得た情報によって選択が変わってしまうのです。

 

○後知恵バイアス

物事が起きたあとに、過去の事象を全て予測可能であったかのように錯覚してしまう現象です。

ある物事が失敗した時に「最初からダメだと思っていた 」とか「だから言ったのに」とか言ってくる人は、この後知恵バイアスの影響を受けているかも知れません。

本人としてはこうなることを知っていたような気分になってしまうのです。

 

○根本的な帰属の誤り

状況の影響を過小評価し、個人特性を過大評価して人間の行動を説明する傾向です。

 

認知バイアスが厄介なのは、これらは無意識に生じているため本人は気づかずにいることが多いことです。

「認知バイアスというものがある」ということを頭の片隅にでも入れておいて、一呼吸置くことが良いかも知れません。