この絵本で、昔べつの本で読んだ、こんな会話を思い出しました。
「今、この世界で一番速いものは何でしょう」ある人がたずねました。
「それは光とか、素粒子とかいうものじゃありませんか」相手は答えます。
「じゃあ、光は宇宙の果てまで何年でいけますか」さらに訊いてきます。
「よく何万光年っていうぐらいだから、光でも何万年もかかるんじゃないですか」相手は少し面倒くさそうに言いました。
「ええ?そんなにかかるんですか。もっともっと速いものがあるんですが、知ってますか」と妙なことを言い出しました。
「銀河系の果てでも、宇宙の果てでも、一瞬で行けるものがあります。ほら、もう行ってしまった。それは…」と続けて言いました。
「人間の想像力です。」
絵本のタイトルはズバリ「このよで いちばん はやいのは」
出版社からの内容紹介ではこうあります。
「カメとウサギが競走します。どっちが速いかな? 答はウサギ。それじゃあ、ウサギより速いのは? チータ。チータより速いのは?ツバメ。ツバメより速いのは、新幹線、飛行機、音、地球の自転、人工衛星、地球が太陽のまわりをまわる公転。いや、この世で一番速いのは、光だ。いや、光よりもっと速いものがある。それは……?」
私たちのイマジネーションは本来もっと自由のはずですね。突拍子もないほど自由であり、測定不能なほど広大で、どんなものよりも速いものです。
おとなの方がドキッとさせられる絵本だと思いました。