他人の邪曲を観るなかれ

このブログで取り上げる時、法句経(ダンマパダ)の偈の引用は、主に中村元訳の「ブッダの真理のことば」からのものが多いのですが、最近、友松圓諦の訳も素晴らしいことを知りました。

友松圓諦は仏教学者で、昭和9年のNHKラジオ放送で、法句経を日本に紹介した最初だと言われています。

文語ですが、私の胸にぴったりとはまる感じがするのです。

もちろん内容は同じで表現が違っているだけですから、はっきり好みの問題です。

例えば、50番の偈です。

中村元訳

他人の過失を見るなかれ。他人のしたこととしなかったことを見るな。ただ自分のしたこととしなかったことだけを見よ。

友松圓諦訳

他人(ひと)の邪曲(よこしま)を

観るなかれ

他人(ひと)のこれを作(な)し

かれの何を作(な)さざるを

観るなかれ

ただおのれの

何を作(な)し

何を作(な)さざりしを

想うべし

外を見て批判・批評をしている場合じゃない。自分が真理を実行すれば良いことだ、と解釈しました。

他人の邪曲を観るなかれ

この一句は心にずっと留めておきたいものです。