「じゃりンこチエ」のチエは、ホルモン屋「チエちゃん」を営む永遠の小学5年生です。
お客の扱いが子どもとは思えないほどうまく(口は悪いのですが)、テツが引き起こす大人の騒動に巻き込まれながら、健気に生きていく少女です。
例えば、第1巻第1話「チエちゃん登場の巻」には、こんなセリフがあります。
お店のお客に対して
「あんまり悪い酒のんでるとアホになるど」
「ほっとけ!おまえらドチビにワシの気持ちがわかるか」
「ウチは男運が悪いねやろか ロクな男が集まらん」
そして、自分の不遇を嘆くのです。
「ウチは日本一不幸な少女や…」
この「ウチは日本一、○○な少女や」というのはチエの口癖で、随所に出てきます。
私が「じゃりンこチエ」が好きなのは、登場人物たちが日常の生活の中で、皆それぞれが主人公となっているからです。
例えば、同級生のマサルとの会話
「オレ反省してるねん」というマサル
「反省!?」と驚くチエ。
「な…なんや、それ テツみたいなこと、ゆうてからに」
そして、続けて言い放ちます。
「ウチはテツで男の勉強してるんやで、男は反省したあとがこわいんや」
チエのクールな言動が、この漫画の最大の魅力のひとつです。
そして、人が「したたか」であるとは、こういう生き方なのだと気づかされます。
たまに読んで、ちょっと毒気をもらって、チエの強さをもらう感じです。