「石の上にも三年」

 

誰もが知っている諺に「石の上にも三年」があります。

今、手元に3冊の国語辞典がありますから、片っ端からどういう説明になっているかを調べてみました。

三省堂現代新国語辞典(第5版)には、こうあります。

[石の上でも三年すわりつづければ石が暖まるように]じっとがまんしていれば、最後にはきっと成功するということ。

現代国語例解辞典(第4版)には

たとえつらくても長い間耐えれば、やがて報われるということ。△冷たい石の上でも三年も座り続ければ温まるの意から。

そして、精選版日本国語大辞典には

(冷たい石の上でも三年すわり続ければ暖まるの意から)たとえつらくてもしんぼう強くがんばれば、やがて報われるということ。

出典として浮世草子・西鶴織留(1694)の文章が掲載されています。

「商人(あきんど)職人によらず、住みなれたる所を替(かゆ)るなかれ。石の上にも三年と俗言(ぞくご)に伝へし」

「石の上にも三年」は、元禄時代から俗言として使われているような言葉なのですね。

ですから、今の時代のスピード感とは違う気がしますし、「3年は辛抱しろ」というのは、現実にそぐわない気もします。

けれども、人間は何事も3年続ければ、そこそこの腕前にはなるとも言われています。

私のことで言えば、今では趣味のランニングも、最初はウォーキングからでした。

それから福岡大学の田中宏暁先生の「スロージョギング」に触れて、ゆっくりジョグをしはじめました。

練習だけでは物足りなくなって、マラソン大会をめざすようになって、3年になります。

3年前を振り返ってみると、当時は一生懸命走っていたつもりが見事な摺り足でしたし、ケガが多くて対処法も見当もつきませんでした。

今も試行錯誤ですが、3年続ければ楽しさもわかってきたように思います。

習い事や趣味などの、自分の「好きなことをやること」に関して言えば、私は「石の上にも三年」はアリだと思います。

「つらくても」や「我慢」「辛抱」というのとは違いますが、楽しみを知るには3年続けてみるのは、おすすめです。