相田みつをさんの言葉だそうです。
「人の為と書いて偽りと読むんだねぇ」
はっとしましたし、なるほどと思いました。
若い頃の私なら、知ったかぶりで言いふらしていたかも知れません。
けれども、大人になって世間を広く知ったことでわかったことは、「無私」の心で人の為に尽くす人達が少なからず存在しているということです。
彼らの行為は、パッと見たところ、損得抜きどころか、損しかしていないようにも見えます。
私はそんな彼らを尊敬していますし、「偽り」とは微塵も思っていません。
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漢字をもう一度よく見てみましょう。
「為」という漢字は、「事を為す」「行為」というように、「する」「つくる」という意味を持ちます。
そして、「偽」という字は、「人がする」という意味、つまり「自然のままではなくて、人の手が加わったもの」という意味です。
自然のままではない、作為によって姿を変えたものから、「偽(いつわ)り」ということになったようです。
もともとは、「人の為」ということではないんですね。
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「情けは人の為ならず」という言葉を連想して思い出していました。
この言葉は「人に対する情けは、結局は自分の為なのだ」という意味です。
人の為ではなく、自分の為に、真心を尽くして謙虚にさせていただく。
相田みつをさんの言葉は、そう言っている気がします。