禅語「七走一坐」

 

「正」という字は、「一度止まると書いて『正』になる」という話をどこかで聞いたことがあります。

一度止まって見直し、確認して修正をする。ずっと走り続けていては自分の姿を見ることができません。

禅語に「七走一坐(しちそういちざ)」という言葉がありますが、まさしくそれを言い表した言葉です。

「7回走ったら1回坐れ、動いたら必ず止まり、体勢を整えてまた動け」といった意味です。

人は走り続けるばかりでは、なぜそこへ向かっているのか、どこへ向かっているのか、その方向は正しいのかを吟味することができません。

一度坐って、1人でじっと考える時間が必要です。

ところが、一坐することが人生の寄り道だと落ち込んだり、挫折感を抱えてしまう人もいますが、それは違います。

先人たちが繰り返し言っているように、人生に無意味なものは何一つないはずです。

コロナ禍で、たくさんの人が思い通りにいかない1年を過ごしています。

「七走一坐」の時だと、思い浮かべてください。

「坐」の時が過ぎ、「走」の時期が訪れた時、きっと前よりも素晴らしい「七走」ができると期待しています。