「而今」

 

今回も禅語のお話。

正法眼蔵山水経の巻に次のような一説があります。

「而今の山水は、古仏の道現成なり。ともに法位に住して、究尽の功徳を成せり。空劫巳前の消息なるがゆえに。而今の活計なり。朕兆未崩の自己なるがゆえに、現成の透脱なり。山の諸功徳高広なるをもて、乗雲の道徳、かならず山より涌達す。順風の妙功、さだめて山より透脱するなり。」

悠久の気運の中に、ギリギリの瞬間が切り取られた、道元禅師らしい言葉だと思います。

「而今」とは「にこん」と読みます。

一時期、カメラの「NIKON」の名称は禅語が由来か?と世間がざわついたことがあったそうですが、これはあわてんぼうの勘違いでした。(実際は日本光学の略称ニッコーからきたもの)

同じ字で「じこん」と読ませる日本酒の銘柄もあるそうですが、これはこちらの禅語を由来としているそうです。

而今の意味は「過去も未来も瞬時の積み重ね。それらに囚われず、今生きている瞬間を大事に、精一杯生きる」というもの。

「いつやるか?今でしょう」

この言葉が流行したのが2013年とのことですから、もう7年経っているのですね。

過去や未来にばかり目をやるのではなく、「今」できることをしっかりとやっていきたいものです。