仏教には「四聖諦(ししょうたい)」という教えがあります。
一つ目が「苦諦(くたい)」
人生は思い通りにならない。人生は苦であるということ。その事実を受け止めることです。
二つ目は「集諦(じったい)」
苦には原因があるということです。欲望のままに反射的に行動することをいったん止めて、自分の内面を観察してみることです。
三つ目は「滅諦(めったい)」
欲望のなくなった状態、つまり反射的な行動を手放した生き方を実現することです。
四つ目が「道諦(どうたい)」
苦しみの消滅には八正道によるべきだという真理です。
悩みがある時、私はこの「四聖諦」をいつも思い返します。
この場合、「悩みは経過させる」という姿勢が役に立ちます。
ひとつひとつの事柄に過剰に反応するのではなく、よく観察してきちんと経過させることは私たち医療者にとっても大切な視点です。
「経過観察」というのは、何もせず放置するということではありません。
close observation、つまり注意深い観察、注視のことです。これは下手に行動を起こす時よりタイミングを逃さない集中力を必要としますし、大きな責任を伴います。
「注意深く通過させる」
大切にしたい姿勢です。