睡眠障害について

 

プライマリ・ケアは全ての臨床医に必要とされる能力だと言われます。

日本プライマリ・ケア連合学会によれば、プライマリ・ケアとは「身近にあって、何でも相談にのってくれる総合的な医療」と説明されています。

私はそれを少しでも身につけるために沖縄県立中部病院で研修医として過ごしましたし、指導医や同僚、後輩たちと切磋琢磨もしてきました。

けれども、何年も内科医として過ごしていくうちに、私が診るべきではないと思った領域があります。

それは「睡眠障害」です。

「眠れない」という訴えには、多くの背景があり、原因があります。

生活のバランスが崩れていることが原因かも知れませんし、もっと深い心の悩みが隠されている可能性もあります。

内科を訪れる患者さんの多くは「睡眠薬を出して欲しい」と受診されます。

「眠れない」=「睡眠薬で解決」という魔法の方程式を信じているのです。

私は私のような内科医が安易に睡眠薬を処方するべきではなく、処方するのならカウンセリングや生活指導、それを十分に時間をかけて行える体制が整っていなければならないと思っています。

残念ながら、私にはそれができません。

ですから、「睡眠薬を出して欲しい」と受診される方は、近くの心療内科へと案内させていただいています。

もちろん、身体的な訴えがある場合はそれを診察させていただいたうえでのことです。

プライマリ・ケアの提供を目標とする医療者としてハンパ者だと思いますが、私のクリニックではそのような方針でやっております。

近隣に心療内科を専門としている多くのクリニックがある浦添・那覇だからこその方針であることも十分承知しています。

ご理解いただければありがたいです。