「走馬灯をつくる」の発想

 

みうらじゅんさんはとにかく天才です。

楽しんでいる感じが素敵ですし、大人として憧れます。

何をしている人なのかという説明がなかなか難しいのですが、思いつくだけでも、イラストレーター、エッセイスト、小説家、ミュージシャン、評論家、ラジオDJ、編集長、ライター、解説者など、とにかく幅広い分野で活躍されている方です。

どれだけ多彩かというエピソードとして、よく取り上げられるのが「マイブーム」という言葉の生みの親であること。

みうらさんの造語らしいです。

ちなみに「マイブーム」というのは「自分の中だけではやっている物や出来事」という意味。

語感が良いというのもあって、広く日本人に定着してしまいました。

私は知りませんでしたが、「ゆるキャラ」や「クソゲー」などもみうらさんがつくった言葉なんだそうです。

 

ところで、「ほぼ日刊イトイ新聞」のサイトに「みうらじゅんに訊け!」というコーナーがあり、みうらさんが還暦を迎えた2018年に「還暦編」が掲載されました。

こういう前書き。

「みうらじゅんさんは、2018年2月1日に60歳の誕生日を迎えました。これからじわじわ老年期に入っていく暮らし、高齢化社会になっていく日本、還暦になったみうらさんに、真正面からこれからの『老い』について訊いてみました。」

やはり、みうらさんはすごいです。

「死の間際には、人生の記憶が走馬灯のように蘇る」と言いますが、その「走馬灯」を80枚ぐらいのスライドショーにして自分で作っておこうとおっしゃるのです。

「ぼくの最期のひと言は『ああ、楽しかった』で死にたいんです。でもそのためには、『ああ、楽しかった』を言い慣れてないとスッと出ないと思うんです。昨日今日考えたことなんてね、死ぬときにはきっと出ないです。」

ドラッカーの有名な逸話「何によって憶えられたいか」に通じる、みうらさんらしい言葉ですね。

言い慣れていないとスッと出ないというのも、その通りだと思います。

「ああ、楽しかった」

その時、みうらさんは看取りの方々をどれだけ羨ましがらせるおつもりでしょう。