インド神話によると、保持神ヴィシュヌは他の神々と違って、様々な化身の姿で現れます。
クールマ(亀)、ヴァラーハ(野猪)、ナラシンハ(獅子熊)、ヴァーマナ(小人)、そしてマツヤ(魚)など。
そして、特にマツヤ(魚)についての伝説が、大変興味深いのです。
ウィキペディアにありましたので、紹介しますね。(原文に手を加えています。)
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太陽神スーリヤの息子マヌ王が祖先の霊に水を捧げるべく川へ入った。
すると、手の中に角を生やした小さな金色の魚マツヤが飛び込んで来て、大きな魚に食べられないよう守って欲しいと頼んできた。
マヌはその金色の魚を守り、瓶の中に入れて育てた。しかし、マツヤ(魚)はすぐにどんどん大きくなっていった。
成長はとどまることを知らず、その度に、池へ、川へ、そして海へと移されていった。
マツヤは、7日後に大洪水が起こり全ての生き物を流し去ってしまうだろうと予言し警告した。
そして、マヌに船を用意して七人の賢者と全ての種子を乗せるよう言うとマツヤは姿を消した。
マヌは海にも入りきらなくなったマツヤを保持神ヴィシュヌの化身であることに気づいていたため、言われた通りにした。
やがて大洪水が起こり、マツヤは船にヒモを巻きつけてヒマラヤの山頂まで引っ張った。
こうしてマヌは生き残り人類の始祖となり、地上に生命を再生させた。
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旧約聖書の「ノアの方舟」、バビロニアの「ギルガメシュ叙事詩」やギリシア神話の「デウカリオンとピュラの方舟」などにみられるインド神話版の大洪水伝説です。
インド神話のマツヤの絵を見ると、人魚みたいな格好をしたマツヤもありますし、巨大魚そのもののマツヤもあります。
沖縄にも大洪水伝説がありますから、かつて大昔に起こった「洪水」の記憶が、伝説となって語り継がれているのでしょう。
大変興味深い伝説だと思います。
下の図はウィキペディアからです。(どちらも「マヌの船を引くマツヤ」)