ことわざ「三年鳴かず飛ばず」

 

私は「三年鳴かず飛ばず」という言葉を、わりと安易にネガティブな意味でつかっていました。

例えば、「志はあるのに結果が出ない」というような状況の時に、です。

鳴り物入りで入団したスポーツ選手や大きなコンクールで優勝経験のあるアーティストが、プロ・デビューした後、数年経っても結果が出なかった時は「う~ん。鳴かず飛ばずだね」などと言っていました。

自分に向けた時は自嘲的に、人に向ける時は残念な思いを込めることが多い言葉です。

しかし、この言葉はもとはポジティブな意味合いだったのですね。

少し長いですが、「鳴かず飛ばず」の元になった逸話がウィキペディアにありましたので転載します。(短くするために手を加えています。)

楚の国王、荘王についてのエピソードです。

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ここから

荘王は父の死により即位した後、まだ若い王であったため、王位を狙う者が首謀者となり謀反が起こった。

荘王は拘束され、北方へ連れ出されたが、謀反は失敗に終わり、荘王は解放されて首都にもどった、ということがあった。

それ以降、荘王は全く政治を見ず、日夜宴席を張り、諫言する者は全て誅殺すると宣言した。

家臣達は呆れ返ったものの諫言も出来ずに見守っていた。

3年目に伍挙が「謎かけをしたいと思います。ある鳥が3年の間、全く飛ばず、全く鳴きませんでした。この鳥の名は何と言うのでしょうか?」と言った。

荘王は「その鳥は一旦飛び立てば天まで届き、一旦鳴けば、人を驚かせるだろう。お前の言いたい事は解っている。下がれ」と言った。

その後も淫蕩に耽ったが、蘇従が死を恐れずに諌めてきた。

荘王は気だるげに「諫言すれば死罪というのは知っているな」と問うたが、蘇従は「我が君の目を覚まさせることができるならば、本望です」と答えた。

これを期に荘王はそれまでの馬鹿のふりを解いた。

荘王は伍挙と蘇従を重用し、国政を取らせた。

民衆の人気は一気に高まり、国力も大きく増大し、楚は周辺諸国を脅かす存在となった。

荘王は3年間、愚かな振りをする事で家臣の人物を見定めていたのである。

ここまで

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「三年鳴かず飛ばず」の本来の意味は「三年の間、雌伏している人がいるが、その人がいざ飛び立つときには大きく飛翔していく」というものです。

恥ずかしながら、私は先日初めて知りました。

その時、どこかで同じようなことを聞いたなあという気がしていたのですが、思い出しました。

ノーベル賞受賞者の山中伸弥教授の言葉です。

「高く飛ぶためには思いっきり低くかがむ必要があるのです」

この言葉は、今逆境にあると感じている人々に、忍耐する勇気と励ましを与えてくれますね。

 

 

 

 

 

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