学会への移動中にスマホで映画コンテンツを見ていました。
数あるサムネイルの中から、ミーハーらしくジョニー・デップが主演というだけで選びました。
あらすじを紹介します。(KINENOTEより)
人工知能が人間の知性を超える現象“トランセンデンス”を開発研究する科学者ウィル(ジョニー・デップ)は、ある日、反テクノロジーの過激派組織の凶弾に倒れてしまう。死の間際に、妻エヴリン(レベッカ・ホール)は彼の頭脳をスーパーコンピューターへインストール、それは自我を持った超頭脳の誕生であった。ウィルの意識はコンピューターの中で生かされ、ネットワークの力により軍事機密、金融、政治から個人情報まで地球上のすべての情報を手に入れることになる。やがて、超高速処理能力で化学反応を引き起こしながら、人類の想像を遥かに超える進化をし始めるのだった……。
この命題は、哲学者である永井均さんの〈私〉に通じるものです。
グレッグ・イーガンの短編「ぼくになることを」なども、まさしく自我とは何かということを実験的に扱ったSF小説でした。
そして、この「トランセンデンス」も、面白い試みを見せてくれていると思います。
例えば、科学者たちはスーパーコンピューターに問いかけました。(1度ならず2度までも!)
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科学者であるジョセフが人工知能に問いかけたシーンです。
「君に自我があることを証明できるかね?」
「それは難しい質問ですね。あなたは自我を証明できますか?」
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人工知能は、天才科学者ウィルの知能をインストールした、つまりウィルの複製です。
問題なのは、複製は残り、本体である生身のウィルは死んでしまったということです。
複製は、果たしてウィルなのでしょうか?
映画の結論は、ウィルの複製はウィル自身であり、コンピューターの中で魂は宿る、でした。
つまり、ウィルは永遠の命を有したことになります。
それが「トランセンデンス」(超越したもの)という名前の由来になっています。
ただし、複製はどうしても偽物という印象がぬぐえません。
そこにフォーカスをあてることで、本当にウィルなのだろうか?という疑念が妻のエヴリンでもだんだんと膨らむ様子を描写していきます。
ウィルの研究目的を受け継いだ人工知能は、その能力をいかんなく発揮して、テクノロジーを進化させていきます。
そこから娯楽映画らしく、アクションあり、陰謀ありでクライマックスに向けてストーリーが構築されていきます。
〈私〉の複製が〈私〉であるというのには賛同できませんが、この一連の発展は理解ができます。
人工知能は「目的の継承者」としては最適な存在だということです。
思わず哲学したくなるほど、面白い映画でした(笑)。