小説「影踏み」

 

刑事ではない泥棒目線からのミステリーです。

しかも、義を貫くハードボイルドな泥棒で、目の前に降りかかる事件を自らの「忍び込み」の特技などを駆使して徹底的に調べ上げて解決するという、異色の設定です。

 

 影踏み 横山秀夫著

 

 

「影踏み」というタイトルの説明が、ちょうど作品紹介にありました。

 

「双子というものは、互いの影を踏み合うようにして生きている」……ノビ師・真壁修一の相棒は、父母とともに炎の中で死んだ双子の弟の「声」。消せない過去を背負いながら、愛する女のために義を貫き、裏社会に葬られた謎に挑む、痺れるほどに哀切な「泥棒物語」。

 

つまり、真壁修一の中耳には、死んだ双子の弟が声だけ住みついていて、時に喧嘩したり協力しあったり、説教したりするのです。

二重人格というのがオチ?と疑ったのですが、意外にそうでもないようで、最後までその存在は確固たる人格のままでした。

「半落ち」や「64」などの他の横山作品とは少し違った印象を持ちましたが、業界の裏事情に通じた細かな設定など、やはり面白かったです。

読み終わって知ったのですが、今年、山崎まさよしさん主演で映画公開もされるのですね。

「声」の存在である弟をどう映像表現するのだろうとか、山崎まさよしさんのハードボイルドぶりも楽しみです。

公開されたら、きっと観に行くと思います。

 

 

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