「呼吸の瞑想」

 

外来で「ストレスが原因だと思う」とおっしゃる方のほとんどが「人間関係」で悩まれているようです。

相手の出方に一喜一憂しますし、気にしないでおこうと思っても、どうしても考えてしまうようです。

とにかく、相手ありきで振り回されている状態です。

 

私もかつてはそうだったと思います。けれども、いつの頃からかふっと考えなくてもすむようになりました。

以前なら、相手の嫌悪感(実際はそうでないことが多い)が自分に向いたと思ったら「ん?何かした?」と気になって、落ち込んだり、へこんだりしたものです。

最近は、まず自分を相手が案外気にしているものではないと思っていますし、ですからネガティブな感情の存在など考えてもいません。

どうしてだろうと理由を考えてみたのですが、これってもしかしたら「マインドフルネス瞑想」のおかげかなと思っています。

毎朝5分間だけ、いわゆる「呼吸の瞑想」をしているのですが、これが役に立っている気がします。

「呼吸の瞑想」というのは私が勝手に言っているものですが、「アーナーパーナサティ・スッタ」の最初の4考察の部分だけを集中して行うものです。

「呼吸による癒し」(ラリー・ローゼンバーグ著、井上ウィマラ訳)から抜粋します。

 

1.息を長く吸っているときには「息を長く吸う」と知り、息を長く吐いているときには「息を長く吐く」と知る。

2.息を短く吸っているときには「息を短く吸う」と知り、息を短く吐いているときには「息を短く吐く」と知る。

3.「全身を感じながら息を吸おう。全身を感じながら息を吐こう」と訓練する。

4.「全身を静めながら息を吸おう。全身を静めながら息を吐こう」と訓練する。

 

「アーナーパーナサティ・スッタ」は全部で16の考察があるのですが、私がやっているのは最初の4考察だけです。

簡単に言えば、自分の呼吸をずっと観察するのです。

やっていると、私たちは呼吸でさえ自分の思い通りにならないことを実感します。

当然のことですが、たった1回の呼吸をしなかっただけで、苦しくなります。

 

「呼吸の瞑想」の時は、「人間関係をよくしょう」とか「ストレスを解消しよう」とか目的を持ちませんし、考えません。

けれど、続けていくうちに、「考えないこと」ができるようになっている気がします。

私は私の本当を知らない。ましてや他人のことなど知ろうはずがない。

短い時間で良いかと思います。「呼吸の瞑想」をやってみませんか?

 

 

 

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