公園などに行って目を足下にやると、短い間ですが、どうしてもやってしまうこと。
私の場合、「四つ葉のクローバー探し」です。
吉野弘さんが、「四つ葉のクローバー」に対する私たちの心情を、詩という形で見事に代弁してくれています。
最後の1行は、「う~ん。そこまで深刻ではないなあ」と思う一方で、自分の底の浅さに少し安堵します。
四つ葉のクローバーの葉っぱは、それぞれ、希望・誠実・愛情・幸運を象徴しているとされていますね。
最後の四つ目が幸運でしたっけ?
四つ葉のクローバー
吉野弘
クローバーの野に座ると
幸福のシンボルと呼ばれているものを私も探しにかかる
座興以上ではないにしても
目にとまれば、好ましいシンボルを見捨てることはない
四つ葉は奇形と知ってはいても
ありふれて手に入りやすいものより
多くの人にゆきわたらぬ稀なものを幸福に見立てる
その比喩を、誰も嗤うことはできない
若い頃、心に刻んだ三木清の熱い言葉
<幸福の要求ほど良心的なものがあるであろうか>
を私はなつかしく思い出す
なつかしく思い出す一方で
ありふれた三つ葉であることに耐え切れぬ我々自身が
何程か奇形ではあるまいかとひそかに思うのは何故か