「孤島パズル」

 

もちろん、無理に分ける必要はないのでしょうが、ジャンルとしては「クローズド・サークル・ミステリー」ということになりますね。

 

「クローズド・サークル」というのは、何らかの事情で外界との行き来が断絶した状況のことを言います。

 

文字通り、閉ざされた空間で起こった事件を扱ったミステリーのこと。

 
  「孤島パズル」有栖川 有栖著

 

舞台は孤島。奄美大島に近い嘉敷島(架空の島)。

 

台風が近づいているため、迎えの船が来るまで島ひとつが大きな密室というわけです。

 

ネットにあった、この作品の紹介文を掲載します。

 

(ここから)

英都大学推理小説研究会に新風を吹き込んだ彼女(マリア)が「伯父の別荘へ行かない?」と誘った孤島の夏。メインテーマは宝捜し(パズル)。みごと解ければ推理研の面目躍如、波涛を越えて時価数億円のダイヤが眠る嘉敷島へやってきた江神二郎とアリスは、楽しむ間もなく起こった事件に巻き込まれてしまう。毎年同じころ島に会する人々に密やかな翳りが根ざしているのか、南国の陽光と青い海、降るような星空を背景に幕間のない悲劇が進行していく。――ここにパズルがある。どうかあなたの手でこの小宇宙に秩序をもたらしていただきたい――〈読者への挑戦〉が興を添え、青き春を謳うロマンティシズムが錦上に花を敷く、極上の本格ミステリ。

(ここまで)

 

罪を犯す人には、その人が背負わなければならなかった宿命があり、また、それをすべて包み込んで犯人を理解しようとする探偵がいます。

「クローズド・サークル」の醍醐味は、登場人物の中に必ず犯人はいるはずで、しかも皆が一様に容疑者であるのにも関わらず、事件が連続して起こってしまうこと。

〈読者への挑戦〉は、事件が起こったその瞬間からなされているとも言えます。

「この人物があやしい」

読者は思い思いに推理をめぐらせながら、結末へと進んでいくのです。

 

私にとって有栖川有栖さんに初めて触れた本だったのですが、「江神シリーズ」とありますから、ほかの作品もさっそく読んでみたくなりました。

 

 

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