日本小児科学会のサイトで、新興・再興感染症対策小委員会、予防接種・感染症小委員会による、「2018/2019シーズンのインフルエンザ治療指針」が示されています。
私は小児科領域の患者さんを診療していませんが、成人の診療に関しても、この治療指針は非常に参考になるものです。
詳しくはこちら → 「2018/2019シーズンのインフルエンザ治療指針」
まず、以下の2つの対策を徹底することの重要性を強調しています。
飛沫感染対策:咳エチケット(有症者自身がマスクを着用し、席をする際にはティッシュやハンカチで口を覆う等の対応を行うこと)
接触感染対策:手洗い等の手指衛生の徹底
一般診療のなかで最近ふと感じるのは、一般の方の中に(いつの頃からなのかわかりませんが)インフルエンザにかかったらインフルエンザの薬を飲まないと治らないと思っている方が意外に多くなっているということです。
抗インフルエンザ薬は、有熱期間の短縮(熱があがるのが短くなる)や重症化予防効果に対して有効であるとわかっていますが、基礎疾患のない多くの人に関しては自然に軽快していくため、必ず飲まなければならないものではありません。
この「治療指針」にも、「治療対象について」で示されています。
1)幼児や基礎疾患があり、インフルエンザ重症化リスクが高い患者や呼吸器症状が強い患者には投与が推奨される。
2)発症後48時間以内の使用が原則であるが、重症化のリスクが高く症状が千円する場合は発症後48時間以上経過していても投与を考慮する。
3)基礎疾患を有さない患者であっても、症状出現から48時間以内にインフルエンザと診断された場合は各意志の判断で投与を考慮する。
4)一方で、多くは自然軽快する疾患でもあり、抗インフルエンザ薬は必須ではない。
ここでは、4)の項目を強調しておきます。
ところで、抗インフルエンザ薬は、現在5種類あります。
2018年2月から新しく承認を受けているゾフルーザという薬がありますが、新しい作用機序の薬で、具体的には1回の服用で治療が済むという特徴があります。
この「治療指針」では「同薬の使用については当委員会では十分なデータを持たず、現時点では検討中である」という姿勢を示しています。
私も、同様の意見です。
今後、データが明らかになってくるまでは、慎重に対応していきたいと思っています。