草野心平さんと言えば、「蛙の詩人」と言われるほど、蛙をテーマにした詩が多いことで知られています。
なかでも「春殖」と題した詩は有名ですね。
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絵画的な手法で「蛙の卵がつらなっているところ」を表現したものです。
「冬眠」はもっとシンプルです。
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なるほど、と思わず唸ってしまいますね。
このように、草野心平さんは自由な表現者というイメージがあります。
「道」という詩があるのですが、その全文がどうしても探せないでいました。
先日、ふとしたきっかけで目にしましたので、紹介しますね。
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道
草野心平
いくどもいくども突きあたり
眞空圏にのめりこみ
いくどもいくども
よろよろよろけ
たちあがり
よろよろよろけ
たちあがり
ああその果てに
己れの過信にどきりとし
行はざるものの
それは錯覚にすぎないと
よろけなどとはずゐぶん立派なお話だと
天日のもと泪し
決意し
そして新しく行かうとします
わが行く道よ正しくあれ
石ころごろごろたりともわが往く道よ大きくあれ
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「わが行く道よ正しくあれ、石ころごろごろたりとも、わが往く道よ、大きくあれ」という一節が特に心に響きます。