外来で、その日採血した検査結果を前にして、患者さんに説明しました。
「いい結果ですね。今の取り組みが間違っていないということじゃないですか。もうちょいですね。」
返事がないので、ふと顔を見ると、患者さんが真顔で言いました。
「私、その『もうちょい』ができないんですよ。」
その言葉がとても腑に落ちたので、私も「確かに!そうですよね!」と、その言葉を引き取りました。
「人は『もうちょい』ができない。」
決意が鈍ったりしたわけではなく、やる気も失ったわけではないけれど、なかなか続かない…。
私も心当たりがあります。ありすぎて笑ってしまいます。
「名言いただきました。メモしていいですか?」
「え? 私、もしかして名言、言いました?」
オリンピック選手のようには到底なれない、普通の人の他愛のない会話でした。