外来診療をしていると、もどかしく思う時があります。
インフルエンザ迅速検査を希望され、陰性であったことをお伝えすると、発熱と咽頭痛を主訴にした患者さんはほっと胸をなでおろしながら言いました。
「良かった。心配していました。」
「インフルエンザでなくて良かったですね。ところで、もしかしてこれから仕事に行くつもりですか?」
「はい。行きます。インフルエンザではないのですよね。」
「う~ん。あの、症状的にもインフルエンザではないと思いますが、風邪ウイルスでも人にうつす可能性は十分にありますよ。」
「…。」
「体調も悪いでしょうし、人にうつさないように家でじっと静養されてはどうでしょう。」
「…。」
「インフルエンザだから休むではなくて、熱や咽喉の痛みがあるのでしたら、それだけでも休む理由になりますよ。」
「でも、仕事がつまっていますし…。」
仕事のことを言われたら、医者が言う言葉は限られてきます。
「それじゃあ、無理をしないように。手洗いと咳エチケットはきちんとしてくださいね。」
お大事にという言葉を添えて、送り出しました。
『風邪をひいたら、人にうつさないように周囲のために自宅静養する。』
そういう視点もぜひお持ちください。