今回の東京出張の旅の本のお供は「屍人荘の殺人」でした。
いやあ、この本ほど、未読の方に中身を語れない本はないかも知れません。
ミステリーはいつもそうなのでしょうが、特にこの本は恨まれてしまう度合いが違う気がします。
途中の展開には本当にビックリしました。
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大学のミステリー愛好会の2人と女子学生が、映画研究会が行う夏合宿に参加することになります。
OBと管理人を合わせて14人が山荘に集結しました。
おりしも山の反対側では数万人規模のロック・フェスティバルが開催されていました。
そして、まさかの◯◯◯!
14人は山荘から出られず、外からの助けもなく、完全なクローズドサークル(密室状態)の中で、殺人事件が起きていきます。
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この斬新さにしばらく唖然としてしまいました。
「え?これってミステリー小説だよね?」と、いったん本を閉じて表紙と帯の文字を確認したほどです。
この分野の読みものはあまり経験がないために、正直に言って「3冠作品」でなければ、本を置いていたかも知れません。
3冠というのは、この小説は『このミステリーがすごい!2018年版』、『週刊文春ミステリーベスト』、『2018本格ミステリ・ベスト10』のことで、そのいずれも第1位を獲得していた作品なのです。
「野球の試合を観に行って、闘牛を見せられた感じ」だと北村薫さんは書評していましたが、まさしくその通りだと思いました。
ミステリーの謎解きもすっきりしています。
こんなクローズドサークルがあるのかと驚嘆しましたが、読み終わるとそれを含めて必然だったような気がしてきました。
面白かったです。おすすめです。