薬を飲むということ

 

外来で、患者さんのお話の中で比較的よくあるのが

「もう少し様子をみたいです。薬は飲みたくないので。」

というのがあります。

 

それは、血圧だったり脂質だったり、血糖の様子だったり、いろいろです。

いわゆる境界領域の方で、医者の方も(もう少し運動と食事に取り組んでくれれば、いいのだけれどなあ)と思っていることが多い方です。

異常値の振り幅が大きい方は、そういう悩み方はしません。コントロールをいかに早くして合併症が出ないようにするにはどうすればよいかと、頭のチャンネルが切り替わっているからです。

 

「薬は飲みたくない」という理由は様々でしょう。アレルギー体質で様々な薬剤で苦労してきた方ももちろんいらっしゃいます。

「薬を内服する」という、その人にとっては「非日常」がどうしても受け容れられないという方もいます。

ほかにもヒトさまざまです。

 

けれども、立ち止まって最初の目的を思い出してほしいのです。

医療機関(この場合はクリニック)を訪れた最初の目的というのは、「これからの人生を心身ともに健康でいつづけること。」ではないでしょうか。

薬は、その目的のための「手段」にしか過ぎません。

 

いつの間にか「薬を飲まない」ということが目的のようになってしまっている方が、たまにいらっしゃいます。

「薬を飲まなくても済むように、体重をコントロールする、食事に気をつける、運動する」など、モチベーションを高める材料としているのなら問題はないかも知れませんね。

けれども、いつまでも境界領域でうろうろしていて、静かに合併症が進行するような事態が続くのであれば、思い切って薬の内服もOKだと思います。

薬を手段として、将来的にも健康な状態を手に入れるのです。

 

「薬を飲み始めたら、一生飲まないといけないんでしょ。」と言う方がいます。

医者も、薬を飲ませることが目的ではありません。状態が良くなったら、もちろん中止することもあります。

医者も当事者である患者さんも、目的はひとつです。

 

一緒によく話し合っていきましょう。

 

 

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