「おじいさんのランプ」や「ごん狐」などの名作童話の作者、新美南吉は29歳の若さでこの世を去っています。死因は当時の「死の病い」である結核でした。
新美南吉の作品はどれも温かく、やさしく包み込んでくれます。
いつか紹介したいと思いますが「こぞうさんの おきょう」などは、みんなが無邪気です。
邪気がないということが、こんなに優しい世界をつくるのかと思い知らされます。
私が特に好きな詩に、「貝殻」という詩があります。
「かなしいときは 貝殻鳴らそ。」というフレーズはどこかで耳にしたことがあるでしょうし、メロディーがついて童謡になっていそうですね。
貝殻
新美南吉
かなしいときは 貝殻鳴らそ。
二つ合わせて 息吹きをこめて。
静かに鳴らそ 貝がらを。
誰もその音を きかずとも、
風にかなしく 消ゆるとも、
せめてじぶんを あたためん。
静かに鳴らそ、貝がらを。