ある人にすすめられたので、取り寄せて、読んでみました。
この本は昭和の名僧、澤木興道禅師の言葉を集めた本です。
世間には、◯◯の名言集という本はたくさんありますが、自分にとってこの本は格別でした。
歯に衣着せぬ言葉の数々が、痛快なのです。きっと、ピシッと言ってもらいたいのですね。
短い言葉の中に、深くもあり、愛情もあり、何度も何度も反芻している自分に気づいてしまいました。
例えば、こんな感じです。
人間という奴は、利口な顔して、真暗闇の中で手さぐりしておる。
グズグズ言うな。よそ見せんと、ただ坐れ。
サトリを追うのも、マヨイを嫌うのも、同じ相場のものでしかない。
道心とは、「ひと」のために「おのれ」を忘れること。
無道心とは、「おのれ」のために「ひと」を忘れること。
私の心に特に響いたのは、まど・みちおさんの詩を彷彿とさせるような、こんな言葉でした。
野鳥は坐禅している人に、ひとついい声を聞かしてやろうと思って鳴くわけでもなく、花も人に美しく思ってもらおうと思って咲くのではない。坐禅人も、悟りをひらくために坐禅しているのではない。
―みなただ自分が自分を自分しているのである。
「自分が自分を自分する」という言葉は、まど・みちおさんの「ぼくが ここに」に通じるような気がして、面白いと思いました。
そういえば、「ぼくが ここに」については、以前に投稿しています。→ 「まどさん」