以前に「イン・ザ・プール」をご紹介しました。→ こちら「イン・ザ・プール」
伊良部一郎先生の活躍…というよりも、伊良部先生を通して自分自身を見つめ直す患者さん達の奮闘を描いた小説です。
精神科医である伊良部先生は治療らしいことは何もしません。
何もしないどころか、あらゆる強迫神経の症状をもった人たちについて、時に余計にあおり、時に当人たち以上にそれに没頭していきます。
「義父のヅラ」などは、まさしく彼の個性全開のお話でした。
5歳時と同レベルの彼に世の常識は通じず、体面を保つなどという意識もなく、自分の欲するままに平気で生きています。
興味があることには、人の迷惑なぞ顧みないし、しかも緊張しないし、躊躇しないし、悩みません。
はっきり言って、その姿はブザマです。
けれども、いつしか「伊良部先生みたいに生きれたら、どんなに楽なんだろう」と思ってしまっている自分がいます。
登場人物たちも、それを感じているのでしょう。
自分で解決の道を見つけてしまうのです。
今回も、また笑いました。しかも、声を出して。
伊良部先生みたいになりたい、とスタッフに言ったら「そうですか?」と苦笑されてしまいました。