遠くのできごと 近くのできごと

ある方に、石川逸子さんの「風」という詩を教えていただきました。

平易な言葉ですが、内容は痛烈です。

本当にそうですね。

最近のいろいろな時事問題について、自分の関心の度合いを諌められている気がしてきます。

 

 

 

   風

           石川逸子

 遠くのできごとに

 人はやさしい

 (おれはそのことを知っている

 吹いていった風

 

 近くのできごとに

 人はだまりこむ

 (おれはそのことを知っている

 吹いていった風

 

 遠くのできごとに

 人はうつくしく怒る

 (おれはそのわけを知っている

 吹いていった風

 

 近くのできごとに

 人は新聞紙と同じ声をあげる

 (おれはそのわけを知っている

 吹いていった風

 

 近くのできごとに

 私たちは自分の声をあげた

 (おれはその声をきいた

 吹いていった風

 

 近くのできごとに

 人はおそろしく

 私たちは小さな舟のようにふるえた

 (吹いていった風

 

 遠くのできごとに

 立ち向かうのは遠くの人で

 近くのできごとに

 立ち向かうのは近くの私たち

 

 (あたりまえの歌を

 風がきいていった

 あたりまえの苦しさを

 風がきいていった

 

 

 

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