時々、星新一さんのショートショートを無性に読みたくなります。
ずっと前に読んでいるはずですが、それを忘れてしまっていて、きっと何度目かの「そうきたかあ」と感心する結末を味わいたくなるのですね。
星新一さんがすごいのは、その作品数もそうなのですが、簡潔な文体でわかりやすいことです。
ショートショートの舞台や状況は、たいていが異常です。
惑星探査宇宙船の中だったり、死を宣告された若い女性だったり、近未来のありえないツールが普及した世の中だったり。
それでも、すんなり腑に落ちるのは、きっとこの文体のせいだろうと思っています。
簡潔なので、誰もが一度ぐらいは「自分もショートショートを書けるのではないかいな。」と勘違いしたことがあるのではないでしょうか。
私などがまさにそれです。荒唐無稽なアイデアはわりと得意とする方なので(ホラ吹きともいいます)実はショートショートを書き始めたのは一度だけではありません。
けれども、すぐに挫折してしまうことになります。読み返してもつまらないのです。
世の中には、私のような勘違いのおっちょこちょいはたくさんいるようで、ニーズがあるのか、こんな本もあります。
まさしく、これです(笑)。
さて、この中に星新一さんの言葉の引用がありました。
アイデアというものは、ひらめくといった形容は似つかわしくない。みっともないぐらい、不器用で、泥くさい作業のつみ重ねである。それに耐えるのが、才能なのだろう。そのあげくの、いいアイデアとなると、単純にしてスマートな形となる。(「きまぐれ遊歩道」新潮文庫)
つまりは中途半端な覚悟では、ショートショートを書けないということですね。
当然ですが、やはり勉強しなければなりません。