私たち世代に「5つの誓い」と言えば、冗談半分でも「ウルトラ5つの誓い」の幾つかを、あるいは5つ全てを諳(そら)んじることができる人間がいるかも知れません(笑)。
「ウルトラ5つの誓い」というのは、「帰ってきたウルトラマン」の最終回の、最後の最後の場面にいきなり出てきた「誓い」のことです。
「帰ってきたウルトラマン」の最終回の戦いの相手は、あの因縁のゼットンでした。
脚本は「怪獣使いと少年」で途中降板はしたものの、「帰ってきたウルトラマン」のメインライターであった上原正三氏です。
バット星人とともに地球にやってきたゼットンに対して、初代マンのテレパシーは郷秀樹に「焦ってはいけない」と警告します。
「その声は…」と郷。
「ゼットンは恐るべき武器を備えた怪獣だ。迂闊に出ると私同様、不覚をとるぞ」
一度は戦いを回避した郷秀樹でしたが、本当の弟同然に暮らす坂田次郎少年とマンションの部屋の隣に住むルリ子を人質にとられ、MATとともに戦いを挑みます。
そして、ウルトラハリケーンでゼットンを宙に投げ、最後はスペシウム光線で勝利するウルトラマン。
ウルトラマンとして最後の戦いを終えた郷秀樹が次郎少年に「平和な故郷を戦争に巻き込もうとする奴らがいる。だから手助けに行かなければならない」と突然の別れを告げます。
そして、郷「ウルトラ5つの誓いを言ってみろ」
次郎は悲しみのあまり、思わず「イヤだ」
郷「言いたくなければいい。だが、次郎。大きくなったらMATに入れ。MATの隊員はみんな勇気ある立派な人たちだ。君もイヤなもの、許さないものと戦える、勇気ある男になるといい。」
そう言い残した郷は、ルリ子に星型のペンダントを渡し、静かに海辺へと歩き出します。
そして、両手をあげて彼らの前でウルトラマンに変身するのでした。
「郷さ~ん!」
次郎は、大空高く飛び立っていく郷を追いかけるように泣き叫びます。
そして、ひとつずつ指を天上に突き上げながら、5つの誓いを叫ぶのでした。
ひとつ、腹ペコのまま学校へ行かぬこと
ひとつ、天気のいい日に布団を干すこと
ひとつ、道を歩く時には車に気を付けること
ひとつ、他人の力を頼りにしないこと
ひとつ、土の上を裸足で走り回って遊ぶこと
ちなみに、次郎君は兄と姉を第37話「ウルトラマン夕日に死す」でナックル星人に殺された過去を持つ少年です。
天涯孤独となり、郷と暮らすようになった次郎少年は、再び一人になってしまいました。
これから先、ひとりで生きていかなければならない次郎少年に、上原正三氏はどんな願いを込めてこの誓いを贈ったのでしょう。