「バットマン リターンズ」は1992年の映画です。独特の世界観を持つティム・バートン監督の作品です。
ティム・バートンの描くバットマンの世界は、むしろ悪役キャラクターが生きてきた人生に焦点をあて、その心情を描いた「異形の世界」の物語です。
この映画の中で、ヒーローは彼等の対照としての鏡でしかありません。
悪役であるペンギンとキャットウーマンは、世の中からのけ者にされ「悪役」にならざるを得なかった心理を、ティム・バートンによって残酷にえぐり出されています。
聴衆が彼等に少しでも共感してしまうのは、社会と自分のつながりが実は脆く危ういものなのではないかという不安がどこかにあるからかも知れません。
この世の中は、いとも簡単に「異質なモノ」を恐れ、のけ者にして排除しようとします。
ティム・バートンは、その本質をヒーロー映画の中に描きました。
「世の中に順応しているように見える人たちも、実はそんなに順応しているわけじゃない。誰だって、いつか爆発するんだよ。それどころか、最もよく順応してると思われてる人っていうのは、人間の形をした時限爆弾みたいなものなんだ。」
ティム・バートンの言葉です。
悲しくも切ない映画です。