世界には当時の文明を絶滅させる大洪水の伝説が無数に存在しています。
共通しているのは、驕り高ぶった人類に神々が怒り、天誅として大洪水を引き起こすというものです。
伝説のパターンとしては、洪水でほとんどの人類が絶滅、少数の人が助かり、水が引いた後に生存者の子孫が現在の人類となるという内容です。
旧約聖書の「ノアの箱船」やインド神話、そしてギリシア神話の大洪水などもそうですし、また沖縄にも八重山地方の鳩間島を始めとして各地に洪水神話が存在しています。
今回はギリシャ神話の「デウカリオンの大洪水」のお話を紹介しますね。
ゼウスは争いを繰り返す人間に嫌気をさし、大洪水を引き起こしました。多くの人類が滅んでいく中、デウカリオンとピュラの夫婦は無事でした。
デウカリオンは人類の守護者プロメテウスの子で、ピュラはその弟エピメテウスの娘でした。
夫婦はあらかじめプロメテウスから洪水が起こることを知らされていたため、箱船をつくり、それに食糧などを積み込んで準備していたのでした。
洪水は9日間続き、箱船は漂流の末パルナッソス山に流れ着きました。
夫婦は女神テミスに人類の再生を願いました。やがて「母の骨を歩きながら背後に投げよ」という神託がくだりました。
そこでふたりは、母なる大地の骨である石を投げました。
デウカリオンが投げた石からは男が、ピュラが投げた石からは女が生まれました。