私たちクリニックの合い言葉(モットー)は、「いつでも どこでも その人らしく」です。
これを打ち出したのは他ならぬ私なのですが、実は「その人らしさ」については今もモヤモヤとした消化不良の感が拭えない気がしています。
例えば、誰かに「そういうところがあなたらしい」と言われたとします。
「え?そう?」と思わぬ評価にたじろいだことも少なくないのではないでしょうか。
「この人は『あなたらしい』と言ったけど、自分のことをどう思っているんだろう?何を理解しているのだろう?決めつけてほしくないんだけど。」
実は「その人らしさ」というのは第三者が受ける表面的な印象で語られることが多い気がしています。もしかしたら、本人さえも周りの評価を鵜呑みにして、自分らしいと勘違いしているケースもあるかも知れません。
ここで「その人らしさ」を原点に戻って考えてみましょう。
「その人らしさ」というのは、その人が「自分らしくあるということ」ですね。
「自分らしくある」とは、例えば、自分らしい言葉遣い、自分らしい仕草、自分らしいファッション、自分らしいライフスタイルなど、それこそ一瞬一瞬の場面や状況に「自分らしさ」が出てくるものです。
それは強引に言い換えれば「自分が大切にしてきたものを大切にして生きていること」と言えないでしょうか。
それは、「自分が価値があると思ったものをその都度選んできたこと。」
さらに言えば、「自分で自分の価値を感じていられること。」
そういうことを周りから尊重されていることが「その人らしさ」じゃないかなと思うのです。
ただし、この「自分らしくある」ことが難しいのですよね。
第三者に「あの人は冗談好きだから」とか「何か言うと、すぐに怒るよね」とかのレッテルが、その人の価値とも思えませんし、尊重されるものでもありません。
「自分らしくある」ためには、自分が大切にしてきたもの、あるいはこれから大切にしたいものが何なのかを、自分の内側に絶えず問いかけ続けなければならないのです。
レッテル貼りに負けずに、いつも自分の心をつかんでいなければなりません。
自分は本当には何がしたいのか。何を求めているのか。本当の願いは何なのか。
それらを省略した「その人らしさ」は、語られようがない気がしています。