ウイルス感染症の発熱パターン

 

インフルエンザの流行期です。

那覇ではインフルエンザ定点あたりの患者報告数が100人を超えていますし、すでに大流行と言っても良いかも知れません。

 

インフルエンザにかかると、発熱、全身のフシブシの痛み、だるさ、鼻水や咳などの上気道炎症状が出てきます。

「私おかしい。なんかいつもと違う。」と思わせてしまうのがインフルエンザで、症状のピーク時には「このままダメかも知れない」と一瞬思ってしまう人もいます。

流行の規模が大きいだけではなく、症状の辛さがインフルエンザが恐れられている理由でもあります。

 

特にインフルエンザに罹った時の熱は、解熱剤でなかなかさがりません。

それには理由があるとされています。

下に、ウイルス性感染症(いわゆる「風邪」など)にかかった時のおおまかな発熱パターンを図に示しました。

発熱パターン

ウイルスが体内に侵入すると、体の中の防衛軍である「白血球」や「マクロファージ」がウイルスを認識して攻撃をはじめます。具体的にはウイルスを食べるように取り込みます。

すると、これらの細胞からサイトカインという物質がつくられます。

このサイトカインが伝達物質を通じて脳の視床下部にある体温調節中枢に「体温をあげるように」というメッセージを送ります。

このメッセージに従って、体温調節中枢は設定温度を「高温」にセットします。

体は脳からの指令にしたがって熱をあげるために筋肉をふるえさせたりします。悪寒が走るのはこの時ですね。

 
つまり、直接的にはウイルスが熱を出しているのではなく、自分の体が自己防御のために熱を出しているのです。

体はエネルギーを総動員して熱を出すことに集中しますから、全身のだるさが出ますし、頭痛もします。食欲も落ちます。

 
なぜなら、ウイルスは低温の方が増殖しやすく、熱があると増殖が抑制されるのです。

また、体温が上昇すると前述の白血球の働きが活発になります。

そのうえ調節中枢の設定温度が「高温」になっていますから、解熱剤ごときではなかなか下がらないのは当然のことと言えます。

ウイルスを退治するために体が熱をあげているのですから。

 

ウイルスによる発熱の自然経過を知ることは、そのほかにもその後の対応を誤らないための助けになります。

この経過から外れていたら、例えば二次的な細菌感染を併発した場合とか、別の病気を考えた方が良いかも知れませんから。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA