以前に紹介した「数学的にありえない」の作者アダム・ファウアーの2作目の作品です。
先日の出張の時の、飛行機のお伴に選んだのがこの本でした。
いつものように那覇空港の書店で、選ぶ間もなくあわてて手にしたのですが、大正解でした。
心理学的にありえない アダム ファウアー 著、 矢口 誠 翻訳
前作と同様、最後の最後まで「真の力」を発揮しない(できない?)主人公のもどかしさや
これでもかと展開していく「最悪な事態」の数々。
あちらこちらに張りめぐされた伏線と、それが複雑な因果となって人間関係に強烈な説得力を生み出していく。
(エピローグを読んだとき、すべてが氷解します。)
そして、そのスピード感がたまらない作品です。
この作品が取り上げるテーマは「エンパシー」
日本語に訳すると 「共感力」や「感情移入力」と言われる能力です。
例えば、ほかの人が気づかない空気をいちはやく感じ取ったり、異常なほど同調してしまう人がいますね。
世間一般では人柄や性格などで片づけられてしまうこの能力が、人の心を操るほどのサイキック・パワーとして身に着けていたとしたら。
そして、その能力を持った人間が、憎悪の塊として世界と対峙していたとしたら。
物語の疾走感がとても面白いのです。
読み終えてすぐに、「この作者の作品をもっと読みたい!」と思わせる面白さです。
おすすめです。