「とおいところ」 まど・みちお

 

訃報を知ったのは、昨日、お昼を過ぎた頃でした。

「驚かないでね。実は…」とニュースで知った家内が教えてくれました。

過去にもこのブログでも紹介させていただいていますが、まど・みちおさんの言葉に私はいつでも救われている人間です。

心にもやもやがかかったり、迷いの森にさまよった時には、まどさんの言葉に触れていたくなるのです。

 

「そのままでいいんだよ。」

いつでもユーモアであふれていて、自分という存在が笑ってしまうほどちっぽけなのだということを思い起こさせてくれます。

 

たとえば、「リンゴ」という詩。

 

リンゴ

 

リンゴを ひとつ

ここに おくと

 

リンゴの

この 大きさは

この リンゴだけで

いっぱいだ

 

リンゴが ひとつ

ここに ある

ほかには

なんにも ない

 

ああ ここで

あることと

ないことが

まぶしいように

ぴったりだ

 

 

このヒトやモノの「存在」に対する解釈は、少年期の私に強烈なインパクトを与えました。

河合隼雄氏がいう「存在がリンゴする。」というような視点に、すごく勇気づけられたのです。

 

ところで、まどさんはあまり知られていないかも知れませんが、絵もお描きになりました。

とても素敵な抽象画です。

 

 

次はこの本の中のまどさんの言葉を抜粋したものです。

 

 

しだいに

抽象画を描くようになりました。

具象画は、

この世にあるものをもとにして

描くのですが、

せっかく描くなら、

何にもこだわらず自由に描きたい。

この世のどこにもない世界、

この世にひとつきりの、

自分の世界を

描きたいと思ったのです…。

 

下の絵はまどさんが描いた「ぞうさん」です。

 

DSC_0459

 

まど・みちおさん

今までありがとうございました。

ご冥福をお祈りいたします。

 

 

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