透析液の清浄化の工程 エンドトキシン捕捉フィルターについて

 

透析液の清浄化については『2011年版社団法人日本透析医学会「エンドトキシン捕捉フィルター(ETRF)管理基準」』の解説文がよく表していると思います。

「透析施設は透析液製造所としての側面を持ち、最終的な透析液の品質について責任を有する。」

 

ETRFというのは 上記にもあるようにEndotoxin Retentive Filterの略で「エンドトキシン捕捉フィルター」のこと。

見た目は普通のダイアライザーにそっくりです。

フィルターを通すことでエンドトキシンを捕捉し含有濃度をさげるというもの。

 

透析液の水質は透析医学会で基準を設けており、以下のようになっています。ETと記されているのがエンドトキシンのことです。

『透析療法に使用される水は以下に示すように四つのカテゴリーに分けて生物学的汚染についての水質基準が決定されている。

透析用水         細菌 100 CFU/mL 未満 ET 0.050 EU/mL 未満

標準透析液         細菌 100 CFU/mL 未満 ET 0.050 EU/mL 未満

超純粋透析液     細菌 0.1 CFU/mL 未満 ET 0.001EU/mL(測定感度)未満

オンライン補充液  無菌かつ無発熱物質(ET)

細菌数 10 / −6CFU/mL未満 ET 0.001EU/mL(測定感度)未満

 

エンドトキシンというのは、グラム陰性桿菌の細胞壁に存在する構成成分です。

日本語で内毒素とも言いますが、エンドトキシンと呼ぶのが一般的です。

水道水は塩素が加えられており、菌が生育できないようになっていますが、菌が死滅しても、菌の死骸の一部であるエンドトキシンは高濃度で残存しています。

 

ただし、一般的に水道水を飲んでもエンドトキシンは腸管を介して我々の体にほとんど吸収されないため問題にはならないのでご安心ください。

しかし、透析液にエンドトキシンが含有していると話は違ってきます。

透析液は水道水を原料につくっていきますから、水質を担保するためにETRFは必要になってくるのです。

現在、オンラインHDFやハイパフォーマンス膜の普及で、上記のような最終調整の水質の管理目標は設けられているのですが

供給にいたるまでのシステム設計やハードウェア(ETRFなど)の設置は各施設にゆだねられているのが現状です。

 

「透析液完全管理責任者セミナー」テキスト〈第3版〉97ページにはこうあります。

『透析液調整工程は、透析液のAB原液を供給する粉末製剤溶解装置と多人数用透析液供給装置から構成されている。

(略)

図8にAB溶解装置の管理と注意点を示す。

fig.8

 


それを参考にした私たちクリニックの実際です。

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