金子みすずさんの詩は、瞑想をしたときのような静かな呼吸を思い出させてくれます。
自分の心の深淵を一緒にのぞかせてくれる感覚です。
こだまでしょうか
「遊ぼう」っていうと
「遊ぼう」っていう。
「ばか」っていうと
「ばか」っていう。
「もう遊ばない」っていうと
「遊ばない」っていう。
そうして、あとで
さみしくなって、
「ごめんね」っていうと
「ごめんね」っていう。
こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。
童謡詩人、金子みすずさんの詩は、生誕100年を超えてもなお私たちの心に素直に入ってきて癒してくれます。
シンプルでまっすぐな言葉ですが、ものごとの光と闇をそのまま投影している感覚です。
[youtube]http://youtu.be/A7g9q2NI5WE[/youtube]
金子みすずさんの「大漁」という詩に偶然出会い、魅了された矢崎節夫さんが
彼女の作品をひたすら探し求め、ついに実の弟とめぐり合ったというお話はあまりに有名ですが
そのおかげで私たちは宝物のような言葉の数々を目にすることができます。
大漁
朝焼け小焼だ
大漁だ
大羽鰮(いわし)の
大漁だ。
浜は祭りの
ようだけど
海のなかでは
何万の
鰮のとむらい
するだろう
「みんなちがって、みんないい」のフレーズが有名な「私と小鳥と鈴と」
曲がついていたのを知りませんでした。
小錦さんが歌をうたっているのですね。
私と小鳥と鈴と
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんの唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
[youtube]http://youtu.be/ncRWshmF3oE[/youtube]
そして、最後に私が好きな詩を紹介します。
さびしいとき
わたしがさびしいときに、
よその人は知らないの。
わたしがさびしいときに、
お友だちはわらうの。
わたしがさびしいときに、
お母さんはやさしいの。
わたしがさびしいときに、
ほとけさまはさびしいの。